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保存版 防除特集

企画・制作 日本農業新聞 広告部

保存版 防除特集2022 企画・制作=日本農業新聞・広告部

トピックス

ドローン防除面積の拡大と登録農薬数の推移

農林水産省 消費・ 安全局 植物防疫課

 昨今、生産現場で脚光を浴びているのがドローンによる農薬の省力散布技術だ。散布面積も年々拡大し、ドローンで散布できる登録農薬の数も増えている。ドローン防除の最新情勢について、農林水産省植物防疫課に聞いた。

ドローンなどに適した農薬の登録数

 近年、ドローンを使用した農薬の空中散布については、水田地帯のみならず、園芸作物の生産現場や傾斜の多い中山間地でも、省力効果の大きい技術としてニーズが高まっている。

 このため、農林水産省では、2019年3月、農業用ドローンや利用技術の普及を加速化させることを目的に策定した「農業用ドローン普及計画」において、22年度末までの4年間にドローンによる農薬散布面積を100万ヘクタールに拡大すること、新たなドローンに適した農薬を200剤増加させる目標を掲げた。本目標の達成に向けて、産地ニーズを農薬メーカーに伝達することによるマッチングや地域における農薬の登録申請に係る試験実施への支援等を通じて、ドローンに適した農薬の登録拡大を推進し、ドローンによる散布面積の拡大を促進しているところである。

 これまでに、ドローンによる散布面積は、16年度の684ヘクタールから20年度の11万9500ヘクタールに拡大していると推測され、ドローンに適した農薬は「農業用ドローン普及計画」策定時から、391剤(22年1月末時点)が新たに登録されたところである。引き続き、登録拡大について産地からの期待の大きい、果樹類や作物の種類が多い野菜類等について 農薬登録の適用範囲の拡大を推進していくこととしている。なお、ドローンによる農薬散布の場合であっても、防除機器・散布装置の機能や性能を正しく理解し、農薬ラベルに記載されている希釈倍数や使用回数などの使用方法を守る必要がある。また、圃場(ほじょう)周辺の居 住者等への事前周知や、周辺の作物等に農薬が飛散しないよう細心の注意を払うなど、農薬を安全かつ適正に使用することが求められることは地上における農薬散布と同様である。現時点でのドローンで使用可能な農薬については、定期的に登録情報をホームページにて公開しているので、参照いただきたい。

https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/nouyaku.html

トピックス

ウンカ類の発生動向と有効な防除対策

農研機構 植物防疫研究部門 基盤防除技術研究領域
海外飛来性害虫・ 先端防除技術グループ長
真田幸代

 水稲の重要害虫であるウンカ類。特に2020年は西日本を中心にトビイロウンカによる坪枯れが相次ぎ、記録的な被害となった。21年は各産地で、有効成分ピラキサルトTMを含む箱施用剤の活用など対策が徹底され、被害は抑えられた。ウンカ類の発生動向と有効な防除対策について、農研機構植物防疫研究部門の真田幸代氏に聞いた。

九州地域のトビイロウンカ発生面積率

2021年の発生・被害状況

 2021年はトビイロウンカの海外飛来が、例年よりも早い5月上旬からみられたが、その後の飛来回数、飛来量ともに少なかった。さらに、8月上・中旬の長雨など、成育に不適な条件であったことなどから、稲生育後期における本種の急激な増殖も見られず、九州を含む西日本地域でおおむね少発生となった。一方、海外飛来してくるセジロウンカと、土着で縞葉枯病を媒介するヒメトビウンカはおおむね平年並みの発生であった。

発生しやすい水稲栽培条件

 トビイロウンカは、多肥栽培、密植栽培で増殖しやすくなる。また、栽培品種(新規需要米の一部)によってはトビイロウンカ、セジロウンカが増殖しやすいものがあるため注意が必要だ。晩稲品種も刈り取り時期が遅くなるため、坪枯れ被害を受けやすい。

育苗箱施用剤のウンカ類防除への有効性

 トビイロウンカとセジロウンカに対しては飛来時期の増殖を防ぐ育苗箱施用剤が最も効果的な防除対策だ。ただし、ウンカ類3種ごとに抵抗性を発達させている薬剤が異なるため、防除対象の種に効果の高い薬剤を選定することが非常に重要だ。

 ピラキサルトTM(一般名:トリフルメゾピリム)をはじめとする新規薬剤が開発されており、これらを含む育苗箱施用剤の利用は有効である。用量・用法を必ず守り、適切に施用する。なお、箱施用剤の効果が低下した後の発生については、本田散布剤による適期防除が必要だ。

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