
職員からも求められる企業型DC 金融リテラシー向上に
資産形成の契機に 公的年金制度を補完

JA福岡信連は、4月から企業型DCオーナーズクラスの導入を決定した。桑野岳利理事長は導入の決め手になった理由を二つ挙げた。
第1に、職員の資産形成を支援するとともに、投資教育や運用商品の選択を経験することで金融機関の職員としての更なるスキルアップにつながること。
資産形成には、貯蓄やNISA、iDeCoなど多様な選択肢があるが、企業型DCでは職員自らの判断で将来の資産を形成することが重要。資産形成に取り組むきっかけを会が提供することに大きな意義がある。長期投資専門の運用会社であるNVICの知見を活かした運用商品のラインナップは、投資に不慣れな職員でも選びやすいと感じている。
第2に、公的年金制度を補完する同制度を導入することで、職員が安心して働ける環境を整えること。会では奨学金の一部補助など一段と福利厚生を充実していく予定だが、企業型DCもその一つ。公的年金制度の受給開始年齢の引き上げや、実質的な受給額の減少を心配する若手職員の不安を軽減し、職場への定着や採用力に寄与することが会側にとっての最大のメリットになる。
事務負荷の心配なく職員から導入要望も

桑野理事長は「当初は導入に伴う事務負荷を心配したが、オーナーズクラスは投資教育や事務局サポートが充実していると感じた。先行する県域の系統団体にも話を聞き、大きな負担にはならないと判断した」と、昨年8月に企業型DCの説明を受けた際の印象を振り返る。職員からも「待望の導入」と好意的に受け止められている。約150人いる職員の半数超が20、30代。開始する時期が早いほど恩恵が得られる企業型DCオーナーズクラス。5割以上の加入を目指している。
会は次年度、組合員の相続や金融資産の相談機能を強化すべくライフサポートセンターを新設する予定。多様化する顧客ニーズへの対応が求められるなか、企業型DCを導入することで職員の金融リテラシーの向上に期待している。