部会アンケート詳細
困りごと最多は今年も「コナジラミ類」
裂果や黄化葉巻病対策が課題に

2025.06.12

 冬春取りトマト特集では、全国主要産地である26のJA生産部会にアンケートを実施した。特設サイトではアンケートの詳細を公開し、産地の課題を紹介する。

 困っている病害虫・生理障害で最も多かったのは、昨年に続き「コナジラミ類」だった。北海道を除く25部会全てが困っていると回答し、昨年の23部会から増加した。回答数の多かった上位5位までを見ると、「裂果」(20部会)、「黄化葉巻病」(19部会)、「灰色かび病」(16部会)、「青枯病」(13部会)と続き、困りごとの1~5位は昨年と同じだった。

害虫 コナジラミ類対策に苦悩

 最も多かった「コナジラミ類」は、多くの野菜や花き類に被害を及ぼす難防除害虫。吸汁などによる直接的な加害だけでなく、すす病などの発生原因となる。特にタバココナジラミはトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)を媒介し、産地に大きな被害をもたらす。

 多くの部会が防虫ネットのハウス開口部への設置や黄色粘着板トラップの設置、雑草防除など、基本的な対策に取り組んでいる。

病害 黄化葉巻病 天敵導入の動きも

 病害では「黄化葉巻病」が最も回答が多かった。上記の基本対策の徹底に加え、抵抗性遺伝子を持つTY品種の導入や、九州ではタバココナジラミの天敵・タバコカスミカメの導入に取り組むJAも複数あった。

 今回のトマト特集では1、4面で天敵を活用した黄化葉巻病対策に取り組む熊本県・JAたまなの取り組みをご紹介→詳細はこちらから

 また、「灰色かび病」(16部会)の対策としては、循環扇の導入によるハウス内の換気や殺菌剤「置型しなもん」の導入、「青枯病」(13部会)の対策としては、耐病性を持つ台木の導入などが挙がった。

生理障害 「裂果」 高温対策・かん水管理が鍵

 困っている生理障害では、20部会が「裂果」を選んだ。乾燥後の急激なかん水や高温などが要因のため、かん水時間や量の適切な管理や、遮熱・遮光資材の導入を対策として上げる部会が多かった。裂果に強いとして硬玉の新品種に転換する部会もあった。

今後取り入れたい資材 1位は新品種

 今後取り入れたい資機材で最も多かったのは、昨年に続き「新品種」(20部会)だった。暑さや裂果、病気などに強く、多収量・高品質で棚持ちの良い品種が求められている。黄化葉巻病や高温などの対策資材の導入を進める部会もあった。また、「燃油高騰対策資材」(9部会)も求める声が多かった。