栗城牧場(北海道天塩郡豊富町) 栗城一貴さん(44)
仲間との連帯が熱量高める

4年前に新築した牛舎の前でホル全共への意気込みを語る一貴さん
5月の北海道B&Wショウで最上位のグランドチャンピオンに輝いた「エツセンス デルタラムダ キング アポロ」を出品した栗城牧場の栗城一貴さん(44)は、10月のホル全共でも上位入賞を狙う。9月19日の地区予選会には7頭出品した。一貴さんは、北海道宗谷管内豊富町で96頭の経産牛を繋ぎ飼いで、94頭の育成牛をフリーストールで飼養。現在は一貴さんと実習生、外国人従業員の3人を軸に、父・一憲さん、母・律子さん、妻・志保さんの協力を得て牧場を運営している。
父の一憲さんは2000年の全共岡山大会で初参加し、4歳クラスで優等賞を獲得。その後は改良を重ね、道の共進会など数々の賞を受賞。04年には北海道ナショナルショウでグランドチャンピオン、07、12、13年はリザーブチャンピオンに輝いた。

給餌する一貴さん
栗城牧場の基本方針は、搾乳がしやすい整った乳房と粗飼料を大量に食べられる体躯に育てること。75㌶の牧草地を丁寧に管理し、雑草を排除して適期に収穫することで、牛が食べやすい粗飼料を確保している。
共進会に参加すれば神経を使い、辛いこともある。しかし、海外研修を経て一貴さんが本格的に酪農経営に参画した23歳の時期から父とともに共進会に取り組んでいたので、現在の経営手法は自然なことだったと言う。それよりも、「会場で出会う高い技術と情熱を持った多くの仲間から受ける刺激が魅力」と一貴さん。豊富町では若手酪農家の新規参加が2軒増え、彼らと日々情報交換を欠かさない。地区の出品仲間と協力してあたる醍醐味は、良い成績を取った仲間を自分のことのように喜べる連帯感にある。
好成績の秘訣を尋ねると、一貴さんは「特別なことはしていない。基本を忠実に実践しているだけ」と謙虚な回答。出品牛と他の牛の世話を分けているわけではなく、長期間安定して搾乳できる健康な牛を育てることが経営の要だという。
「自分自身がこれまで全共でたくさんの刺激を受けて成長してきた。ぜひ多くの酪農家や農業者に会場に足を運んでもらい、その熱量を肌で感じてほしい」と全共への思いを語った。