価格転嫁に一定理解
理解醸成には課題も

2024.06.03

 燃油や資材など生産コストの上昇が続く中、価格転嫁はトマト生産でも喫緊の課題となっている。トマトは食卓に欠かせず、頻繁に購入する食材とあって、値上げすれば家計への影響も大きい。消費者アンケートでは、消費者が値上げに一定の理解を示していることが分かった。ただ、「再生産可能価格」という言葉の認知度はほとんどなく、さらなる情報発信の強化を求める声も上がる。

値上げでも8割超購入 コスト増を気遣う声も

 トマトが現在の単価より1、2割高くなっても購入するか尋ねたところ、「気にせず購入する」は6%(82人)にとどまった=グラフ1。ただ80%(1053人)が「少し気になるが、購入する」と回答した。

 「購入をやめる」と答えた人の割合は14%(179人)だった。
 自由記述では、今期前半の価格高騰を受けて、購入しやすい金額や一年を通して安定した金額を求める声があった。一方、物価高騰による生産コストの上昇を気遣う声もあり、価格転嫁に一定の理解が進んでいることが分かった。

「再生産可能価格」 理解度5%と課題

 普段からJAの直売所を利用し、地産地消や食に関心が高いと考えられる層でも、「再生産可能価格」という言葉の意味が分かる人は5%(66人)しかいなかった=グラフ2。66%(864人)は「知らない」、29%(384人)は「聞いたことはあるが、よく分からない」と答えた。

 生産者とつながることができる直売所。利用者の多くは、価格転嫁に理解を示す一方、生産現場の現状が十分に伝わっているか課題も見えた。
 全国スーパーマーケット協会の事務局は「相場高になればカット野菜や冷凍品、漬物などに需要が流れるが、トマトは代替が利きにくい面が有利に働くのではないか。一方、食への関心が低い国民も多く、どうしても値ごろ感が求められる。アンケートで『買う』と答えても、実際に店頭で買うとは限らない」と分析する。
 消費者の節約志向は強く、小売現場では“見た目価格”を維持するため、内容量を少し減らすなど売り方、見せ方を工夫しているという。
 メディアでも農産物などの価格が安いスーパーやドラッグストアばかりが取り上げられており、「価格転嫁とは逆の価格を下げる方向に向かっている」と指摘。「生産も小売も、消費者に今より高い適正価格で買ってほしいとは言いづらい。国が国民理解醸成に向けた取り組みを強化し、日頃の買い物から食や農を守る重要性を消費者に発信してほしい」と話す。

アンケート概要

対象:フレマルシェ公式LINE登録者約5500人にLINEでアンケートURLを配信(2回)
回答期間:4月3~26日
回答数:1314人

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