埼玉・JAほくさい 北川辺いちご部
県オリジナル品種へ転換
埼玉県JAほくさい北川辺いちご部は、イチゴのおいしさを競うコンテストで最高位を獲得した、高品質生産に取り組む部会だ。小さい産地ながら、高品質・良食味で差別化しようと県オリジナル品種への転換を進めた他、二酸化炭素(CO₂)や、LEDによる害虫対策など、新しい技術導入にも積極的だ。生育を着実に進め、イチゴの品質を引き出す。
部会員は8人で、栽培面積は1.1ha。同部の「べにたま」は2023年に日本野菜ソムリエ協会主催の「第1回クリスマスいちご選手権」で最高金賞を受賞し、24年「第2回クリスマスいちご選手権」、25年「全国いちご選手権」で金賞を獲得。埼玉県の市場を通じた地元スーパーの他、東京・大田市場を通じ、東京のデパートなどでも扱われている。


CO₂やLED 害虫対策に
以前は「とちおとめ」を栽培していたが、主産地の栃木県が22年に品種転換を決定したことで部会でも転換の機運が拡大。甘さが際立つ埼玉県育成の「あまりん」を一部導入し、同時に品種登録前の「べにたま」の試験栽培を始め、21年に品種登録されたのを機に、本格栽培を始めた。現在では、早生で市場品種として有望な「べにたま」を主力に栽培し、「べにたま」と「あまりん」の栽培面積は7対3ほどの割合だ。
部会長の高橋春輝さん(37)は「人数も少なく面積も大きくない。埼玉県のイチゴの良食味を生かし、より高品質なものを作ることで、部会また地域として、ブランドを確立したい」と、品種を転換した狙いを語る。
イチゴの高品質生産に決定打はなく、高橋部会長は「大粒で味と果形をよく育てるには一つ一つの管理をしっかりやること」と強調する。同部では、炭酸ガス(二酸化炭素)くん蒸処理の装置を導入し定植前の苗のハダニ類を防除。アザミウマ類には忌避効果のある赤色光を発するLEDによる対策が進み、防除の効率化につながっている。近年の暑さを受け、育苗施設では温度を下げるミストの活用も進んでいる。また出荷シーズンに目ぞろえ会や食味会を開催し、部会全体としてブランド強化に努めている。
高橋部会長は「小さい産地だからこそ情報共有の早さや、市場の要望に応えやすい利点がある。高品質なイチゴづくりで産地を維持していきたい」と意気込む。

