果樹の害虫
見回りと早期防除が鍵に

2025.02.19
農研機構 植物防疫研究部門 果樹茶病害虫 防除研究領域 検疫対策技術グループ グループ長 新井 朋徳

 2024年は春や秋の気温が高く推移し、害虫の発生が早期化するだけでなく、長期間続く条件となった。また、果樹カメムシ類の多発も重なり、害虫防除が困難な年であった。これらの問題は今後も起こることが予測される。今後に向け、果樹の共通害虫である果樹カメムシ類と、カメムシ類の防除を行うことで増加が懸念されるハダニ類やカイガラムシ類について解説する。

カメムシ類

  2024年の果樹カメムシ類の多発は、23年に多発し越冬した虫が、餌を求めて果樹園などに飛来したことによる。23年の果樹カメムシ類の多発は、餌となるスギ・ヒノキ(特にヒノキ)球果結実量が多かったことが理由の一つである。
 24年のスギ・ヒノキ球果結実量は少ないことから、全国的にみると、24年の秋以降、果樹カメムシ類が少ない傾向である。ただし、地域により状況は異なるので、引き続き注意する必要がある。
 果樹カメムシ類の越冬量や発生については各県から予察情報や注意報などで発表されるので、これらの情報をもとに防除対策を立てる。また、果樹カメムシ類防除の基本は早期発見、早期防除であることから、日頃から果樹園内を小まめに見て回り、飛来初期から地域で一斉防除する。
 果樹カメムシ類の防除剤としては、残効の長い合成ピレスロイド剤やネオニコチノイド剤が有効であるが、これら薬剤は天敵類に影響があり、カメムシ類の防除後にハダニ類やカイガラムシ類の増加を引き起こすことがあるので注意が必要である。

ツヤアオカメムシ
チャバネアオカメムシ

ハダニ類

 ハダニ類は発育期間が短く年発生回数が多く、短期間のうちに密度が高くなりやすい。また、薬剤抵抗性の発達が過去に何度も起こり、使用できる薬剤が少なくなっていることなどから、防除が困難になりつつある。
 特に近年、春や秋の気温が高く、ハダニ類の増殖に適する期間が長くなる傾向であることから、注意が必要である。ハダニ類には多くの天敵がいることから、それらの活用を図り、薬剤防除が必要な場合には、同じ作用機構を持つ薬剤の連用散布にならないように注意する。
 また、気門封鎖型防除剤は、抵抗性の発達の恐れがないことから活用する。

カイガラムシ類

 カイガラムシ類の多くは冬季のマシン油乳剤散布が有効であることから、多発した場合に実施する。カイガラムシ類の密度が高く、冬季のマシン油乳剤散布が行えない場合には、幼虫発生時期に防除する。
 近年、春の温度が高く、カイガラムシ類の発生が平年よりも早期化する傾向であることから、幼虫発生時期の防除の際には気温の推移も考慮し、適期散布となるように注意する必要がある。

フジコナカイガラムシ被害果
ナシマルカイガラムシ被害果