公益財団法人 日本植物調節剤研究協会 理事長 大谷 敏郎

難防除雑草や外来雑草、特に近年急速に問題化している特定外来生物に対しては、手探りで除草剤を使っても十分な効果が得られない場合が多い。当協会は、適切な防除法によりこれらの雑草の発生レベルを低く維持することが、除草剤の使用量や環境負荷を低減するために、最も重要であると考えている。
当協会が2021年に行った全国の普及機関を対象としたアンケートでは外来種だけでなく、多くの在来種も依然として防除困難な状況が判明した。これら難防除雑草や外来雑草の防除には通常、複数回の薬剤散布が必要になり、剤の使用量が増加するなど負担も多くなる。
また、18年の農薬取締法改正により薬効・薬害データに関する農薬登録要件が緩和され、全国で使える剤が増加しているが、生産現場で具体的に除草剤を選択する際、例えば難防除雑草を対象とする薬剤やその使用方法に関する情報を、個別の草種名から網羅的に収集するのは容易ではなかった。
「除草カタログ」活用を
このため、当協会は「除草カタログ」(https://joso-catalog.japr.or.jp)を開発し、24年5月にウェブサイトで公開した。難防除雑草や外来雑草を防除するための情報を、雑草ごとに総合的に取りまとめ、分かりやすく発信することを目的とした。利用者は、農薬を使用されている全ての方、すなわち農家の皆さま、県や市町村、JAなどの担当の方、また農地外では道路、河川、鉄道、電力、公園など公共性の高い土地を管理する機関や会社の方などを想定し、防除が難しい雑草に向き合っている現場にとって有用な情報を提供できるものと考えている。除草カタログでは、当協会を通じて実施された薬効・薬害試験の結果から、有識者を交えた検討を経て、対象雑草に有効と判断された除草剤について、その使い方を紹介している。現在のところ、水田の雑草6種類(雑草イネ、アゼガヤ、クサネム、ナガエツルノゲイトウ、イボクサ、アシカキ)と水田以外の雑草1種類(アレチウリ)が掲載され、引き続き草種を追加予定である。

雑草名を選ぶと防除方法の解説と雑草の生育状況に応じた有効な除草剤一覧が表示され、目的に応じた除草剤を適切に選ぶことができる。さらに、現場での実際の防除事例についてユーザー間での情報共有を行う場として「防除レポート」を提供したいと考えている。現在のところまだ1件のみであるが、今後、広く防除レポートを募集して掲載数を充実させていきたい。
当協会の大きな役割である除草剤や植物成長調整剤の登録、普及に向けた薬効・薬害試験、作物や水・土壌への残留試験、難防除雑草や将来問題化する可能性のある雑草の防除に関する研究開発事業に「除草カタログ」を加えることで問題となる雑草の発生レベルを可能な限り抑え、みどりの食料システム戦略の実現に貢献していきたい。
60年の協力に感謝
最後に、当協会は24年11月に設立60周年を迎えた。1950年代から国内で本格的に植物調節剤(除草剤、植物成長調整剤および植物の生育調整資材)の利用が進み、登録件数が増大したため、64年に植物調節剤の検査・検定、研究開発および普及啓発の三つの業務を行う機関として設立された。
以後、60年にわたり当協会がお手伝いをさせていただきながら、農家の皆さま、メーカーや販売店の皆さま、県や国の関係者の皆さまをはじめ多くの方のご協力とご努力により、現在の植物調節剤の利用体系が実現できたと考えている。この場を借りて深く御礼を申し上げたい。