夏秋取りトマト特集では、全国の主要産地である23のJA生産部会にアンケートを実施した。特設サイトではアンケートの詳細を公開し、産地の課題を紹介する。
困っている病害虫・生理障害で最も多かったのは、昨年、一昨年に続き「コナジラミ類」だった。17部会が困っていると回答した。回答数の多かった上位5位までを見ると、「トマトキバガ」(14部会)、「灰色かび病」(11部会)、「黄化葉巻病」(9部会)、「青枯病」(9部会)と続いた。昨年に比べ、「トマトキバガ」と「黄化葉巻病」に困っている部会が増え、新たに5位以内に入った。
害虫 トマトキバガに悩む部会が増加
最も多かった「コナジラミ類」は、多くの野菜や花き類に被害を及ぼす難防除害虫。吸汁などによる直接的な加害だけでなく、すす病などの発生原因となる。特にタバココナジラミはトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)を媒介し、産地に大きな被害をもたらす。
また、昨年に比べてトマトキバガを挙げる部会が増えた一方、アザミウマ類を挙げた部会は減少した。
多くの部会が対策としてローテーション防除を挙げ、フェロモントラップや粘着版、防虫ネットなどを活用する部会も多かった。
残渣(ざんさ)の圃場(ほじょう)外撤去(東北地方の部会)、圃場の片づけ状況の確認や抜き取り調査(九州地方の部会)などに取り組む部会もあった。

病害 さまざまな病害が広域で発生
病害では「灰色かび病」が最も回答が多かった。昨年に比べ、「黄化葉巻病」(9部会)、「かいよう病」(8部会)、輪紋病(6部会)に困っていると答えた部会が増加した。
対策としては、防除の徹底はもちろん、土壌消毒や使用した資材の徹底した消毒(中部地方の部会)、耐病性を持つ台木の選定(四国・九州地方の部会)などが挙がった。

生理障害 「裂果」高温対策・かん水管理が鍵
困っている生理障害では、13部会が「裂果」を選んだ。乾燥後の急激なかん水や高温などが主な要因。対策として、遮熱資材や硬玉品種の導入、外気の導入、圃場(ほじょう)特性や生育に合わせたかん水管理(東北地方の部会)、少量多かん水や10月以降のエスレルの散布(関東地方の部会)、遮光資材の活用(中国地方の部会)が挙がった。

導入したい資機材 1位は高温対策資材
今後導入したい資機材で最も多かったのは、「高温対策資材」(15部会)だった。今年は記録的な猛暑となり、10月まで暑かったため、シーズンを通して暑さ対策が必要となった。具体的には、「外気温とハウス内の温湿度の差を把握し、ハウス内の環境変化を緩やかにする装置」(北海道の部会)や、「ファインシェード(遮光資材)」(中国地方の部会)などの回答があった。
2番目に多かった新品種(13部会)では、「裂果しにくい品種や高温に強い品種」(東北地方の部会)、「黄化葉巻病に耐病性があり、割れずに大きな玉が取れる品種」(関東地方の部会)、「シーズンを通して秀品率が高く、秋でも安定して肥大する品種」(四国地方の部会)など、暑さや裂果に強い品種を求める声が多かった。
暑さ対策資材としての導入が広がっている「バイオスティミュラント(BS)資材」(8部会)の導入を検討する部会も昨年より増加した。

