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生産者・進藤智貴さん
収益が魅力高まる期待

2025.10.24

夏秋いちごを新規導入し、加工事業にも期待する生産者の進藤さん



 協議会に参画する生産者からも、取り組みを歓迎する声が上がる。23年に秋田市でUターン就農した進藤智貴さん(50)は「消費者に『夏にいちごがあるんですね』と驚いて、喜んで買ってもらえるのは生産者として本当に励みになる。需要があると改めて実感する」と説明する。
 進藤さんは、県内で開かれたスマート農業の講座で、中戸川さんから夏秋いちごの情報を聞き、栽培することを決めた。通常の作型の冬春いちごとメロンに組み合わせる形で夏秋いちごを導入。現時点の面積当たりの収量は冬春栽培にはまだ及ばないものの、販売単価は高いため、夏に栽培する高収益品目として有望視する。「暖房コストがかからない点も含めると、もう少し収量が安定さえすれば収益性で冬春いちごを上回る」と期待する。
 協議会を通じ、頼りになる生産者仲間とのつながりもできた。春の定植前には現地の栽培講習がある。ただ、生産者ごとに栽培環境や施設は異なるため、生産者同士が交流サイト(SNS)上で、各メンバーの状況や対策について遠慮なく意見を出し合う。NTTアグリテクノロジーも生産者の一員として参加し、ざっくばらんに話してアドバイスを行う。
 進藤さんは地域に生きる生産者として、夏秋いちごを通じた地域活性化への期待も込める。
 「秋田県は米を基幹品目とする生産者が多く、長年の単価低迷で、生産者が子どもに就農を勧めないような状況が続いてきた。夏秋いちごを選択肢として収益力を強化し、冬場の労働と収入になる加工などの6次産業化に取り組めば、経営にいろいろな可能性が広がる。雇用も生まれ地域経済が活性化する」と期待する。
 進藤さん自身、これまで出荷できていなかった形の悪いいちごを活用しようと、今後、付加価値を付けたジェラートなどの6次加工品として販売する準備を進めている。


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