農研機構 植物防疫研究部門 果樹茶病害虫防除研究領域 果樹茶生物的防除グループ 上級研究員 萬屋 宏
常緑の永年性作物である茶は、多肥下で栽培されるため、寄生している昆虫類にとって、茶葉は栄養の豊かな良い餌となっている。また年3、4回の摘採(てきさい)は、害虫が食べやすい新芽を次々に提供することになるので、こうした点も虫たちに良い餌場を提供していることにつながっている。全国の茶園で被害が大きく問題になっている害虫種は、十数種ほどであり、現在は主に農薬の使用を基幹とした防除が行われている。
24年は、夏(6月から8月)の平均気温が全国153の気象台などのうち80地点で歴代1位の高温となった(21地点のタイ記録を含む)。9月から10月にかけても気温は全国的に高く推移した。高温の年は、害虫の発生時期の早期化や世代数が増加することに起因する発生期間の長期化など、従来と異なる発生動向を示すことがある。こうしたイレギュラーな状況に対応するには、各害虫の発生生態を理解した上で発生状況を的確に把握し、効率的な防除を心がけることが重要である。ここでは近年多発する茶害虫とその防除のポイントを紹介する。
チャノミドリヒメヨコバイ
本種=写真1=は、成虫と幼虫ともに口針を茶の新芽に突き刺して吸汁することにより葉脈の褐変、葉の黄褐変、新芽の生長抑制および新芽枯死を引き起こし、茶生産に多大な被害を及ぼす。中国本土や台湾においても本種の加害によって多大な経済的損失が生じていると報告されている。
防除時期は、二、三番茶新芽の萌芽(ほうが)~開葉期、秋芽生育期であり、通常はチャノキイロアザミウマと同時防除される。各種薬剤が有効であるが、地域によって感受性の低下が報告されている薬剤もあるため、薬剤選択に留意するとともに、薬剤抵抗性管理の観点から同一系統の薬剤を連用しないように注意する。

チャノホソガ
本種は新葉の葉裏に産卵し、幼虫は潜葉期、葉縁巻葉期を経て、老齢幼虫が新葉を三角に巻き=写真2、この三角巻葉内にふんを堆積する。摘採時にこれらの三角巻葉が混入すると、水色(すいしょく)が赤くなり製茶品質が著しく悪化する。本種の防除は卵~潜葉期に行う。三角葉巻期に薬剤を散布しても十分な防除効果が得られない場合があるため注意する。
