主な夏秋作型向け
トマト品種の特性

2024.12.04

夏秋取りトマトの品種選びと最新動向

農研機構 野菜花き研究部門 野菜花き品種育成研究領域 領域長 松永 啓

 トマトを安定栽培させる重要な要素として、栽培地の環境や栽培方法に最も適した品種を選ぶことがあげられる。ここでは、夏秋トマトにおける品種選びの参考として夏秋取りトマト品種の特性(農研機構・野菜花き研究部門監修)を紹介する。

大玉トマト・ミディ(中玉)トマト

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※①高温期の「果実肥大性」「着果性」「耐裂果性」「耐尻腐果」の4項目はメーカーの自己申告に基づき、◦=極めて優れている、◯=とても優れている、△=やや優れている、記載なし=優れていない・不明、とした ※②黄化葉巻病抵抗性遺伝子型は、種苗会社が非公表の場合は△=中程度の抵抗性あり(耐病性含む)、とした ※③葉かび病は、◯=抵抗性遺伝子がCf-9、または同等レベルの強い抵抗性、△=◯よりやや弱い中程度抵抗性とした ※④病害抵抗性は、◯=抵抗性あり、△=中程度の抵抗性あり(耐病性含む)。品種選定や各品種の抵抗性の強弱は種苗会社への聞き取りや、種苗会社のカタログ、ホームページなどを参考にし、それぞれ農研機構野菜花き研究部門が監修した ※⑤品種の特徴は、種苗会社によるコメント ※⑥国内育成品種は育成した種苗会社を、海外育成品種は国内の販売店などを記載した

ミニトマト

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※①高温期の「果実肥大性」「着果性」「耐裂果性」「耐尻腐果」の4項目はメーカーの自己申告に基づき、◦=極めて優れている、◯=とても優れている、△=やや優れている、記載なし=優れていない・不明、とした ※②黄化葉巻病抵抗性遺伝子型は、種苗会社が非公表の場合は△=中程度の抵抗性あり(耐病性含む)、とした ※③葉かび病は、◯=抵抗性遺伝子がCf-9、または同等レベルの強い抵抗性、△=◯よりやや弱い中程度抵抗性とした ※④病害抵抗性は、◯=抵抗性あり、△=中程度の抵抗性あり(耐病性含む)。品種選定や各品種の抵抗性の強弱は種苗会社への聞き取りや、種苗会社のカタログ、ホームページなどを参考にし、それぞれ農研機構野菜花き研究部門が監修した ※⑤品種の特徴は、種苗会社によるコメント ※⑥国内育成品種は育成した種苗会社を、海外育成品種は国内の販売店などを記載した

台木用トマト

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注)1.主な品種について種苗会社のカタログ、ホームページなどを参考に病害抵抗性を示し、それぞれ種苗会社が確認、農研機構野菜花き研究部門が監修した 2.青枯病は種苗会社のカタログで抵抗性強度が5―7の品種を〇、8―10の品種を◦とした 3.褐色根腐病は、タキイ種苗およびサカタのタネの品種は抵抗性強度が3―4の品種を△とし、5―6の品種を〇、7―9の品種を◦とした

夏秋取りトマトの品種選びのポイント

青枯病対策

穂木用品種の利用も検討

 青枯病は、高温時に発生しやすい土壌病害で、夏秋期のトマト栽培では被害の大きな病害の一つである。対策として、抵抗性台木用品種への接ぎ木が有効とされており、各種苗会社も多くの台木用品種を開発している。しかし、各品種の青枯病抵抗性強度が異なるので注意が必要だ。品種選定の際には各種カタログなどで確認したい。
 青枯病激発圃場(ほじょう)などでは、抵抗性台木用品種に接ぎ木をしても、青枯病原細菌が台木の導管を通って穂木に到達し発病することがある。この対策のため高接ぎ木法などの手法が開発されているが、穂木用品種の中には、青枯病に対して弱いながらも抵抗性を示す品種も開発されているので、このような品種の利用も検討したい。

葉かび病とすすかび病

抵抗性品種の発病に注意

 葉かび病は多湿条件で発生しやすい病害である。本病害に対しては病害抵抗性品種の開発も進み、多くの品種が抵抗性を保有している。葉かび病抵抗性としていくつかの種類が知られているが、葉かび病にも多くの病原菌分化が認められている。抵抗性の種類と病原菌の種類の組み合わせによっては、抵抗性品種が発病する場合があるので注意が必要だ。このような場合、薬剤散布による防除が必要になる。
 また、葉かび病に似た症状を示す病害であるすすかび病の発生にも注意したい。すすかび病の対策は、これまで薬剤散布による防除が主流だったが、近年、すすかび病抵抗性品種も開発されているので活用したい。

硬玉

裂果に強く食味も向上

 近年、大玉品種に、硬玉形質を持つ品種が増えている。硬玉とは、文字通り果実が硬いことを意味するが、この形質を持つ品種は裂果に強い傾向があり、栽培時の裂果だけなく、果実の運搬や流通時にも割れにくい特性を持つ。
 以前であれば、果実が硬いと果実が小さいというイメージを持ったかもしれないが、現在は、果実が硬くて大きい品種も多い。さらに、これら品種の食味は、他の品種と同等もしくは優れているものも多い。近年、各種苗会社では硬玉形質にも注力して品種開発しているので、この点も着目して品種を選びたい。