記者の目 経営支援 日本農業新聞 報道部 

2023.06.01

施設園芸のコスト減
補填、税制活用鍵に

日本農業新聞 編集局 報道部

 施設園芸では、ハウスの加温などに必要な燃料の価格高騰が続く。肥料価格も高水準が続き、経営への大きな負担となっている。燃料コストの負担軽減に役立つ農水省の補填(ほてん)制度や、化学肥料の低減といった環境に配慮した生産につながる農機などの導入時に活用できる支援制度をまとめた。

高騰補填、ガスも追加

 燃料価格が高騰した時にその差額を補填する制度が、農水省の「施設園芸セーフティネット構築事業」だ。これまで補填対象はA重油と灯油だったが、本年からLPガスと液化天然ガス(LNG)が追加された。対象期間は燃料を使う10月~翌年6月。今は、今冬からの加入者を募集する。

 原資は国と農家が1対1で積み立てる。3戸以上の農家、または、5人以上の農業従事者で構成する組織で加入し、3年間で燃料使用量を15%以上削減する計画を立てる。

 2023年10月~24年6月の発動基準価格は、A重油が1㍑当たり81・6円、灯油が同86・5円、LPガスが1㌔当たり106・9円、LNGが1立方㍍当たり57円。価格が基準を上回った時に補填する。

 通常は購入量の7割が補填対象だが、価格急騰時は特例が発動して同10割になる。ウクライナ危機を背景とした燃料高騰を受け、22年度は過去最多となる約2万1500戸が事業に加入した。

環境負荷低減の農機導入支援

環境負荷低減に向けた「みどりの食料システム戦略」を推進する新法が昨年7月に施行され、新法に基づく制度の活用が可能となった。化学肥料・農薬の低減などにつながると国が認定した機械を導入する際、購入当初の税負担を軽減できる「みどり投資促進税制」だ。活用を希望する農家は、県に環境負荷低減の実践計画を出し、認定を受ける必要がある。

 導入費用の32%を導入初年度の損金に加えられ、所得・法人税が軽減できる仕組み。導入額が100万円以上の場合が対象だ。施設園芸関係では、適正量の施肥を促す養液栽培用の自動灌水(かんすい)設備や、農薬を作物に付着しやすくする噴霧ノズルなどが認定を受ける。対象の機械は全体で約800あり、同省のホームページで確認できる。