農研機構 野菜花き研究部門 野菜花き品種育成研究領域 露地野菜花き育種グループ 主任研究員 藤戸 聡史

秋冬ネギは夏季の高温や乾燥、豪雨などの影響を受けやすく、それぞれの地域に合った品種選びや資材の選択の重要性が増している。農研機構・野菜花き研究部門による品種選びのポイントと各種苗メーカーが薦める秋冬作型向けの品種リストを紹介する。
夏季の高温への対策が大切
秋冬どりネギは、暑さの厳しい夏季を経た後に収穫時期を迎えるため、気温が下がってから収穫時期を迎えるまでの期間における回復の早さが重要になる。そのため、生育時期である高温期の耐暑性に加えて、収穫時期である低温期の耐寒性が秋冬どりネギの品種に求められる特性として挙げられる。
近年は夏季の異常な高温による影響で、収穫・出荷が遅れてしまう産地が多く、「秋どりネギの単価が端境期よりも高くなる」といった事態がここ数年続いている。東京卸売市場の2024年度および25年度のネギ入荷実績によると、24年10月~25年3月における月ごとの取扱数量トップ3の都道府県での単価の平均値は452円/kg~620円/kgの範囲であり、春夏どりネギ(25年4月~9月)における取扱数量トップ3の都道府県の単価の平均値434円/kgよりも高い値となっていた。農林水産省の野菜生産出荷統計では、24年度の秋冬どりネギの収穫量は24万2200tであり、20年度の収穫量27万3000tから1割以上も減少している一方で、作付け面積については1万3800ha(20年度)から1万3200ha(24年度)と、収穫量ほどの大幅な減少はないことから、作付け面積当たりの収穫量が減っているといえる。23年度も作付け面積当たりの収穫量は減少していることから、収穫量減少の原因の一つとして高温の影響が考えられる。今後も夏季の高温が続く可能性があることから、夏季の高温への対策を第一に考えて品種選定を実施するべきである。
複数品種の栽培でリスク分散
夏季に生じる被害の原因については産地によってさまざまである。例えば高温と少雨による乾燥でネギの生育が著しく停滞することや、高温と局地的な豪雨によって病害が発生することが挙げられる。どの地域でどういった気象災害が発生するか、といった予測は極めて困難であるため、対策を立てるのは難しいのが現状である。
一方で、秋冬どり作型はネギにおける旬の時期の作型であることから、市販されている秋冬どりに適した品種の数は多く、古い品種から新しい品種まで選択の幅は広い。最近開発された品種の多くはF1品種であるため、現在一般的に利用される品種はほとんどF1品種であるが、古くからある品種のなかには在来品種や固定品種もあり、栽培環境や目的に合わせた品種選択が可能である。
最近開発された品種は、耐暑性や耐寒性に優れているものが多いので、栽培環境や収穫時期など他に求める特性を考慮した上で複数品種を栽培し、予測がつかない気象条件などのリスクに対応することが望まれる。


