ヒートポンプによるイチゴ夜冷処理

2026.02.25
9月高温影響による出荷遅れが改善

 静岡県のイチゴ産地では、7月に苗を植え、11月下旬に収穫する促成栽培の普及が進んでいる。一方、近年の夏の暑さで収穫が遅れがちになったことから、ヒートポンプによる夜冷を組み合わせる試験を実施。その結果、安定して11月下旬に収穫することができると分かった。試験のポイントについて、県志太榛原農林事務所に解説してもらった。

背景

高温対策で活用

 静岡県志太榛原地域は、温暖な気象と日照時間に恵まれたイチゴ産地である。管内のJAハイナンでは、新たにイチゴ栽培に参入する生産者が増えている。
 イチゴ新規参入者は、2020年から、県育成の早生品種で良食味の特長のある「きらぴ香」の早期定植による促成栽培に取り組んだ結果、今年度の同JAの「きらぴ香」栽培比率は52%となっている。
 イチゴの早期定植は7月上旬に切り離した苗を、本圃(ぽ)高設ベッドに定植後、本圃の給液装置を利用して育苗し、育苗後半から低窒素条件により花芽分化誘導を行う、省力安定生産技術となる(図1)。

 「きらぴ香」の早期定植では、21年までは、夜冷処理を行わなくても11月下旬に出荷が開始されていたが、22年以降は9月の高温の影響により花芽分化が遅れ、12月中旬まで出荷開始が遅れている。そのため、大葉栽培からイチゴに品目転換した生産者が、大葉生産で利用していたヒートポンプを活用し、本圃夜冷処理による高温対策を実践したので、その事例を紹介する。

取り組み概要

花芽分化を促進

 屋根型硬質フィルムハウス12aで、7月中旬に「きらぴ香」の早期定植を行い、9月1日から10月上旬まで、ヒートポンプを活用して、夜間18度を目標に夜冷処理を行った(外気の最低気温が18度を下回るまで夜冷処理を行う)。夜冷処理期間中は、遮光カーテンと保温カーテンを利用し、またサイドはPOフィルムを2枚重ねで利用し、冷房効率を高めた。11分の売上げは30万円程度で、ヒートポンプ8馬力3台の電気代は15万円程度1717日程度早くなり、111月下旬から収穫できた(表1)。

成果

11月下旬に出荷

 22年から24年まで、「きらぴ香」の早期定植における本圃夜冷処理を行い、出荷開始時期は3年間11月23日か24日と安定していた。本圃夜冷処理により11月下旬から計画出荷が可能になっている。
 今年度は、新たにヒートポンプが設置された20aの中古ハウスで規模拡大を行い、本圃夜冷処理開始時期を変え、収穫時期の分散化について検討している。

夜冷処理で早期出荷を行う

静岡県志太榛原農林事務所
生産振興課 班長
藤浪 裕幸