単価日本一を継続

2023.02.09

大玉生かし高い認知度

JA全農ふくれん

 「あかい・まるい・おおきい・うまい」の頭文字から名付けられた福岡県のブランドイチゴ「あまおう」が、本年度デビュー20周年を迎えた。福岡県特産の高級イチゴとして知らない人はいない。2004年に市場単価日本一を達成して以来、現在までその座をキープ。20周年を機にキャンペーンで春先需要の盛り上げを図る。その軌跡を聞いた。

産地一丸で更新に舵切る プライスリーダー譲らず

 福岡県のイチゴを再び日本一にする──。1996年、その使命を受けて福岡県農業総合試験場(現:県農林業総合試験場)で育種が始まった。2001年、品種名「福岡S6号」が「とよのか」の後継として次期推奨候補品種に決まり、品種登録出願した。
 「とよのか」と比べ大玉の割合が多く、春先の色づきや糖と酸度のバランスが良好。色つやと形が良いのが決め手だった。
 02年、福岡県民を対象にネーミングを募集。「あまおう」と名付けられた。市場から「他にはないイチゴ」と高い評価を受けた。本格生産販売となった03年には、テレビCMや知事のトップセールスなど、消費者への認知度アップが図られた。
 わずか2年後の04年には、県内で栽培するイチゴの93%が「あまおう」に切り替えた。栽培経験のない未知の品種へ、産地一丸で勇気をもって舵を切った。これが奏功し、この年、市場単価日本一を達成。その後、現在まで18年間、単価日本一を継続中で、プライスリーダーの座を譲ることはない。

「博多あまおう」

パワーブランド狙い高級感で顧客を拡大

 「博多あまおう」の基本戦略で目指したのは、価値ある価格でより多くの人に買ってもらえる「パワーブランド」の位置付けだ。高級感を大切にしながら、生産量の拡大に合わせて一般消費者にも対応できるような展開を図る。
 顧客ターゲットは、高級果物専門店を商品イメージと価格のリーダーと位置付け、「高級」感を保ちながら、量販店へ顧客の拡大を進めた。
 「あまおう」の大玉の特性を生かし、出荷規格は全国に先駆けてパック規格(DⅩ=デラックス、G)を新たに導入した。

徹底した品質管理で「あまおう」ブランドを維持する
入会後、イチゴ一筋のJA全農ふくれん果実課・中村亮平担当(撮影のためマスクを外しています)

インスタでキャンペーン シーズン通じ消費高める

 「博多あまおう」が今シーズン20周年を迎えたのを機に、JA全農ふくれんは応援する相手にメッセージを付けて「博多あまおう」を贈る習慣を定着させようと、写真動画投稿アプリ「インスタグラム」の投稿者にプレゼントが当たる「博多あまおうエールキャンペーン」を3月12日まで実施する。(インスタグラム「#あまおうエール」で検索)
 本年度は、福岡県出身の人気タレント、今田美桜さんをキャラクターに起用し、話題づくりにも力を入れる。 全農ふくれん果実課の中村亮平さんは「受験や部活、就職などで頑張る人へのギフト利用を定着させることで、シーズンを通して消費を盛り上げていきたい」と話す。

「#あまおうエール」ポスター