最新の施設園芸について

2023.03.20
一般社団法人日本施設園芸協会 事務局長 藤村 博志

 施設園芸を取り巻く状況は、燃料のみならず、肥料など、多くの農業資材の高騰・不足により、施設園芸農家の経営は大変厳しい状況となるとともに、施設園芸に関わる業界としても大きな影響を受けているところです。

 こうした状況から、施設園芸に欠かせないA重油や灯油に加え、LGP・都市ガスへの価格補塡(ほてん)をはじめ、肥料代や電気代などへの政府による価格補塡の措置が取られました。国の補助事業においては、ヒートポンプ導入などへの支援が措置されました。

 また、国産の加工・業務用野菜に対する需要への対応が、わが国農業界の重要な課題となっている中で、最も実需者から求められる持続的な安定供給ニーズに対して、責任を持って取り組んでいく農業経営者や園芸産地の育成・確保が求められています。こうしたニーズに応える農業現場が必要とする施設園芸に係る技術・システムの再構築が待ったなしの状況です。

 今後、農業における飛躍的な生産性の向上や低コスト化を実現するには、個々のニーズに応えながら発展してきたわが国の施設園芸は、農業者の個の取り組みから、データ利用のオープン化などによる農業者の連携が不可欠になるものと思われます。

 施設園芸における農業者の連携を効率的に進めるため、施設園芸に係るハウスや生産システムの標準化への取り組みを進め、低コスト化や災害復旧に向けた迅速な対応も大きく前進すると考えています。また、標準化と同時に、先進的な省エネ技術・環境制御技術に加え、農山漁村における再生エネルギーを活用したわが国のゼロエミッション型の新たなハウスとその団地化を進めることで、ロボット化・自動化も格段に導入しやすくなるなど、施設園芸のさらなる発展が期待されるところです。SDGsへの対応にも高い評価が得られると思います。

ハイブリッド型ヒートポンプの普及に向けて!