2025.02.19
世界気象機関(WMO)によると、2024年は前年に続き観測史上最も暑い年となった。農業生産も雑草の分布拡大や病害虫の多発など、大きな影響を受けた。雑草では、旺盛な繁殖力で「地球上で最悪の侵略的生物」と称されるナガエツルノゲイトウが26都府県に拡大。農研機構に対応を聞いた。
農研機構 農業環境研究部門 農業生態系管理研究領域 研究領域長 大久保 悟
農研機構 農業環境研究部門 化学物質リスク研究領域 有機化学物質グループ 上級研究員 藤本 岳人

侵略的外来種とは、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物である外来種のうち、自然環境に大きな影響を与え、生物多様性を脅かす恐れのある生物である。これら侵略的外来種(植物)のうち、ナガエツルノゲイトウやアレチウリなどは、大きな農業被害を引き起こしている。
これらの植物は、種子や断片が水を通じて拡散する。主に揚・排水機場や農業用水路などを通じて水田や畑地に侵入し、農業用水のくみ上げ阻害や、作物に絡みつき収量を減少させる。これまでに農研機構では、農地における侵略的外来種に対する管理技術として、水田で使用可能な化学農薬の選抜や登録拡大、遮光シートを用いた枯死技術などを開発し、生産現場で活用されている。一方で、農地内への侵入阻止に向けた適切な防除技術が不足している。
そこで現在、農林水産省と環境省が共同して、内閣府予算であるBRIDGEプロジェクト「生物多様性と農業生産を脅かす侵略的外来種の根絶技術の開発」(24年度より3年間を予定)を活用し、広範囲の探索や省力的かつ低環境負荷な防除を目指した技術開発に取り組んでいる。具体的には、雑草群落の中から対象の侵略的外来種のみを検出するAIプログラムや新たなノズルや展着剤を活用したピンポイント薬剤処理技術などである。また、現状では認められていない農業用水路などにおける化学農薬の使用を検討するため、在来種に与えるリスクの整理など、環境に対する影響評価を実施している。