トピックス① 史上最も暑い年 現場の対応策は

2024.02.19

 2023年の生産現場を振り返ると夏の猛烈な暑さが記憶に新しい。観測史上最も高温の年となり、栽培体系だけでなく、防除体系にも大きな影響が出た。異常気象の常態化も懸念される中、高温対策(トピックス①)や病害虫発生状況の変化、省力的な防除技術(トピックス②)について農林水産省に解説してもらった。

農林水産省 大臣官房 みどりの食料システム戦略グループ

農業経営に影響大

 23年は、世界の気温が、記録の残る1850年以降で最も高い年となった。わが国でも年平均気温が、観測史上最も高温の年となり、異常気象による深刻な農業被害もあった。米では高温の影響による白未熟粒の発生等が生じ、一等米比率が低下するなど、品質低下や収量減少により農業経営に大きな影響が発生した。これに対し、農林水産省では「高温対策栽培体系への転換支援事業」により、高温環境に適応した栽培体系への転換に向けた支援を実施している。

進む高温適応技術

 地球温暖化が進行する中、例えば、リンゴや温州ミカンは長期的に栽培適地が北方や内陸地へ移動することが予測されている。気候変動の影響を受けやすい農業分野では、将来の影響予測などを踏まえた適応策を講じることが必要である。農林水産省は「農林水産省気候変動適応計画」を定め、高温でも白未熟粒が発生しにくい米品種や着色がよいリンゴ品種の開発、高温に適応した生産技術の研究開発を進め、これら品種や技術の普及などを推進している=図。「地球温暖化影響調査レポート」では、毎年、都道府県の協力を得て、農業生産現場における高温障害などの影響や、その適応策などの情報を取りまとめており、こうした情報の活用もご検討いただきたい。