静岡県農林技術研究所 茶業研究センター 茶環境適応技術科 村上源太
抵抗性の発達に注意して[害虫]
チャノミドリヒメヨコバイ
新芽の重要害虫であり、芽を吸汁することで萎凋(いちょう)や硬化・発育停止などの被害が出るほか、ひどくなると葉先が縮れ褐変・落葉を引き起こす。静岡県の一部地域では、過去にネオニコチノイド系殺虫剤の感受性低下の報告があり、その他の薬剤についても感受性の低下が懸念されるため、他の害虫に対する年間防除体系を考慮して、同系統の薬剤は年1回までの使用にとどめる。 静岡県の平坦地では、6月下旬以降になって被害が急激に進むことが多いので、二番茶芽に被害の発生が懸念される場合は、早めの摘採を心がける必要がある。また、二番茶摘採後の残葉や遅れ芽が本種の好適な増殖場所となっていることから、二番茶摘採後の整枝も重要である。7、8月には三番茶未摘採園においても、翌年一番茶の母枝となる三番茶枝の葉層を保護するため防除が必要となるほか、秋冬番茶を摘採する場合には秋芽の防除も重要となる。
カンザワハダニ
あらゆるステージの葉を吸汁加害し、生育阻害や品質の低下を引き起こす。静岡県では、春と秋に発生が増加する二山型となることが多いが、年によっては夏に多発する場合もある。
発生時期や発生量は気象条件によって大きく左右されるため注意が必要である。越冬明けの防除については、3月ごろから日当たりの良い畝南面のすそ葉をしっかりと観察する。朱色の休眠雌成虫が覚醒すると暗褐色になり産卵を開始するため、暗褐色個体が増加するタイミングに合わせて、裾葉の葉裏に薬剤がかかるよう噴口を畝間の下側から上部に向け、10㌃当たり400㍑相当量を散布する。本害虫は寄生植物である茶が常緑の永年性作物で生育場所が周年同一であることから、薬剤による淘汰(とうた)を連続して受けやすく、薬剤抵抗性の発達が早くなると考えられている。そのため同一系統の薬剤を連用せず、ローテーション散布を心がけることが重要である。
チャハマキ/チャノコカクモンハマキ
幼虫が巻葉を作って加害し、収穫物となる新葉や光合成の母葉となる成葉を加害することで収量低下や生育遅延を引き起こす。年4、5回発生し、防除適期の目安は、IGR剤やジアミド系殺虫剤などの遅効的な薬剤は発蛾(が)最盛日の7日後まで、そのほかの薬剤は発蛾最盛日の7~10日後となる。