畑地・樹園地の雑草防除

2023.02.20
公益財団法人日本植物調節剤研究協会 技術部 技術第一課 山木義賢

畑地の雑草対策

 畑地での雑草防除は、播種(はしゅ)または定植後に土壌処理剤を散布して初期防除を行い、必要に応じて中耕除草や茎葉処理剤の散布などを行う。

土壌処理剤

 土壌処理剤は播種後出芽前に使用して雑草の発生を抑える。定植する野菜などでは定植の前後に作物にかからないように散布するが、薬剤と作物の組み合わせによっては作物を含む全面に散布できるものがある。砕土・整地・覆土を丁寧に行い、所定量を均一に散布する。土壌が乾燥した状態が続くと効果が低下する一方、散布直後の強雨や加湿条件では、作物に薬害を生じる場合がある。砂質土壌は薬害が生じやすい。

茎葉処理剤

 茎葉処理剤は、作物には影響せずに特定の種類の雑草を枯らす選択性茎葉処理剤と、薬液が付着した植物全般に作用する非選択性茎葉処理剤がある。選択性茎葉処理剤は作物を含む圃場(ほじょう)全面に散布できるが、一般に、防除できる雑草の種類、大きさが限られる。使用にあたり薬剤の選定、処理時期に注意する。

 非選択性茎葉処理剤は薬液が作物に付着すると強い薬害を生じるため、耕起前、作物の播種または出芽前、作物の生育中の畝間、圃場内周縁部など、作物に直接かからない場面で使用する。畝間に散布する場合は、飛散防止カバーを用いる、散布圧を低くするなどで、作物に飛散しないように注意して散布する。

樹園地の雑草対策

 樹園地では草を生やさない清耕法と草で被覆して管理する草生法がある。草生法は、土壌流亡の防止などの利点があるが、雑草を繁茂させると、春先の萌芽(ほうが)・新梢(しんしょう)伸長など果樹の成長が盛んになる時期では肥料が雑草に吸われ、梅雨明け後の干ばつ期では水分が競合することがある。

6月のぶどう園(福岡)

薬剤防除のポイント

 樹園地では、非選択性茎葉処理剤の使用が多い。非選択性茎葉処理剤には、雑草の茎葉部のみを枯らす接触型の薬剤と、根まで枯らす吸収移行型の薬剤がある。これらの薬剤は、薬液が果樹の茎葉部や、幼木など樹皮が木化していない部位に付着すると、葉枯れ、生育抑制などの症状が出るので、飛散には十分に注意する。