農水省のバイオスティミュラント(BS)のガイドラインについて、BS資材の利用者と、BS資材の適切な利用や普及を促す団体は、どのように受け止めているのだろうか。そこで、本特集では、利用者側としてJA全農に、普及団体として日本バイオスティミュラント協議会、生物刺激制御研究会、環境ストレス研究会に話を聞いた。
効果の高いBSの供給を
ガイドラインをベースに
JA全農 耕種資材部
JA全農は会員である経済連・JAを通じて肥料や農薬などの生産資材の供給を行うほか、農作物の生産効率を上げるための技術普及を進めている。バイオスティミュラント(BS)は肥料や農薬とは異なり、高温・乾燥などの非生物的ストレス耐性を付与したり、肥料成分の養分吸収を促したりする効果があるとされている。生産現場で課題となっている気象変動対応や生産コストの低減に役立つ可能性があることから本会では実証試験を行い、いくつかの資材の供給を開始している。
本会ではかねてから、腐植資材、海藻抽出物、アミノ酸などBSに分類されると考えられる資材の供給をしていたが、今後は「バイオスティミュラント効果」をうたうものについては、その表示、効果・効能の担保および安全性確認については原則として農水省が定めた「バイオスティミュラントの表示等に係るガイドライン」への適合性を確認の上、取り扱うこととしている。
また、本会においても営農・技術センターや現地圃場(ほじょう)でBS資材の効果検証を実施し、安定した効果があり、現場の課題解決につながる資材の選定や効果的な施用方法の検討を実施していく。

ガイドラインを踏まえ
自主基準作成し普及へ
日本バイオスティミュラント協議会 会長 梶田 信明
この度の農林水産省のガイドラインを受け、当協議会は事業者が使用者にバイオスティミュラント(BS)製品の情報を伝えることを手引きにした自主基準の作成を進めている。農林水産省のガイドラインを踏まえた、BS製品の取り扱い事業者がBS製品の効果・効能や使用方法を表示する際に、優良誤認するような不当表示をせず、農薬疑義資材にならないような指標を作成することで、BS製品の健全な市場づくりと普及に貢献していきたい。
日本バイオスティミュラント協議会は2025年8月現在、約150社の会員と数十人の個人会員が入会している。当協議会では、18年の設立以来、一般向けの講演会や会員向けの勉強会を行いながら、国内外のBSの動向を調査し、日本におけるあり方を協議してきた。
今後も一般向けのセミナーや協議会会員向けの勉強会などを通じて、意見交換を行いながら、日本におけるBSの発展に向けて活動を続けていく。
科学的根拠明示を評価
環境整備の一歩、歓迎
生物刺激制御研究会 代表世話人 鳴坂 義弘
公表されたガイドラインは、生産者が安心して資材を選べる環境整備の第一歩として歓迎する。特に、科学的根拠や適切な表示の重要性が明示された点は、本分野の健全な発展に資するものと受け止めている。
生物刺激制御研究会では、独自のバイオスティミュラント(BS)の定義を「植物の活力を高め、植物に本来備わっている力を利用することで、様々なストレスを緩和させて健全な植物の成長をサポートする物質」と策定した。
研究会では、資材の安全性を重視するとともに、その効果を科学的に検証し、作用機序や機能を明確にすることで、植物の活力向上や環境ストレスの緩和といった作用の「見える化」を目指している。研究会は2021年1月、BSに関する科学的理解の深化と、分野を超えたオープンイノベーションの推進を目的に発足した。
植物の免疫力や環境適応力を高める資材の機能解明と応用技術の開発に向けて、分野横断的な研究者が連携して活動している。一般の方や企業関係者も自由に参加できる公開セミナーを随時開催しており、最新の研究成果や現場での活用事例を広く共有することで、BS資材の正しい理解と有効な活用を支援している。
製品の性能向上に期待
順守し農業者に応える
環境ストレス研究会 事務局 須藤 修
環境ストレス研究会は農林水産省が公表したガイドラインを、高く評価している。ガイドラインに適合することで製品の性能と品質のさらなる向上に期待できる。加えて、バイオスティミュラント(BS)市場の拡大や持続可能な農業への貢献につながるとも予想している。今後もガイドラインを順守しながら、農業者のニーズに的確に応えられるよう努力していきたい。
「環境ストレス研究会」は2024年2月、BSを活用した環境ストレス対策を推進することを目的に、ファイトクロームの呼びかけで設立された研究グループ。現在は10社が加入している。味の素ヘルシーサプライとアリスタライフサイエンスからの原料調達などで、3社が共同で開発した製品は、全国の大手卸企業10社との連携で実証活動を進め、環境ストレス対応型のBS資材の開発を加速させている。
25年4月には高温ストレス対策専用のBS製品「ヒートインパクト」が発売され、主に水稲の高温対策を中心に出荷が始まった。今後は低温・凍霜害などへの対応製品の開発も進め、順次市場投入を予定している。