ネギ産地では葉に病斑を生じる葉枯病や、吸汁やウイルス媒介で加害するネギアザミウマなどの発生が課題となっている。いずれも減収を招く病害虫であるため、適切に防除を行い、発生を防ぐことが肝要だ。本企画では同病害虫の特徴や防除方法について、秋田県農業試験場の高橋真央氏と蛭川泰成氏が解説する。
葉枯病
葉枯病は、糸状菌の一種による空気伝染性の病害である。気温が15~20度で多雨の時期に発病が多い。本病菌は先枯れ・斑点病斑、黄色斑紋病斑を形成することが知られている。
先枯れや斑点病斑を形成
葉先枯れなどで傷んだ部分やベと病などの病斑部に本病原菌が感染・発病すると、葉の先端や葉身に紡錘形や楕円(だえん)形などの病斑を形成し、後に病斑の中心部に黒色や黒紫色のカビが生じる=写真1。

病斑は拡大するが発病の程度が低く、葉が枯死することはほとんどないため収量に対する影響は小さい。病徴は、黒斑病と酷似しており判別が難しいが、地域によっては葉枯病が優占している事例があり、北海道、秋田県などで報告されている。
黄色斑紋病斑で収益に影響も
本病斑の形成方法は先枯れ・斑点病斑と異なる。ネギの中心葉に分生子が付着・感染した場合、退緑小斑点や黄緑~黄色の不規則な斑紋が生じる=写真2。

中心葉は、出荷部位であり、発病の程度が大きいと外観品質の低下により、規格外や市場からのクレーム対象となる。本病斑による被害は、収益に大きく影響するため防除対策を行うことが重要となる。
発病初期からの防除が有効
黄色斑紋病斑は、発病初期から急増期が薬剤防除の適期となる。秋田県では、9月上旬から10月上旬がこの時期に該当し、葉枯病に防除効果がある薬剤(シメコナゾール・マンゼブ水和剤、ピラジフルミド水和剤など)を使用し、約10日間隔でローテーション防除を計4回行うことが有効である。
また、黄色斑紋病斑の発生程度には品種によって差がある。耐病性を持った品種の利用により、薬剤防除回数を削減できるため、対策の一つとなる。
| 秋田県農業試験場 生産環境部 病害虫チーム 技師 髙橋真央 |
ネギアザミウマ
ネギアザミウマは、アザミウマ目アザミウマ科に属する昆虫で、ネギの栽培における主要害虫に位置づけられている。体長は成虫が1.1~1.6mm、幼虫が1.0mm前後と小型である。国内では北海道から沖縄県まで分布している。
本種の寄主植物は、ネギの他にナス科、ウリ科、アブラナ科の野菜類やカーネーション、バラ、キクをはじめとした花き類などと幅広く、さまざまな品目で本種による加害が確認されている。ネギ圃場(ほじょう)における初発時期は暖地では3月頃、寒冷地では6月頃とされており、高温少雨の時期に発生が増加する。
吸汁やウイルス媒介など加害
ネギにおいては、成虫、幼虫ともに葉上で生活し、葉の表面をなめるように吸汁して葉の組織を傷つける。加害された葉の表面には白いかすり状の食害痕が生じ、外観品質が低下する=写真3。

また、本種はアイリスイエロースポットウイルスを媒介することが報告されており、ネギにウイルスが感染した際には、葉身に不明瞭な退緑斑を生じ、発病が進展すると葉が変形・枯死する。
耕種・薬剤防除で密度抑える
対策としては、定植時にジノテフラン液剤、シアントラニリプロール液剤などを灌注(かんちゅう)処理し、生育期間中には茎葉処理剤、粒剤を用いて定期的に防除を行う。本種は増殖が早く、多発してからの薬剤防除は困難であるため、発生初期から圃場の害虫密度を低く維持することが重要である。
アザミウマ類は薬剤抵抗性が発達しやすく、ネギアザミウマについては合成ピレスロイド系剤(IRACコード:3A)に対する薬剤抵抗性の発達が確認されている。薬剤防除の際は、IRACコードの異なる薬剤を組み合わせたローテーション防除を心がけ、薬剤抵抗性を発達させないことが重要である。
また、本種は雑草地を発生源としており、成虫が雑草地から風に乗って圃場内へ侵入する。圃場周辺の除草を徹底することで圃場内への侵入を抑制できるため、耕種的防除と薬剤防除を組み合わせた対策を講じる。
| 秋田県農業試験場 生産環境部 病害虫チーム 研究員 蛭川泰成 |
