農研機構 植物防疫研究部門 作物病害虫防除研究領域 生物的病害虫防除グループ グループ長補佐 村上 理都子
前年に引き続き2024年の夏も記録的な高温が続いた。秋以降の平均気温も高く、害虫が増殖しやすい状況となり、病害虫発生予察注意報も多く出される傾向が見られた。作物全般においてハスモンヨトウ、オオタバコガ、シロイチモジヨトウなどのチョウ目害虫や、アザミウマ、コナジラミ、アブラムシ、ハダニなどの微小害虫の発生が問題となることから、ここではチョウ目害虫と微小害虫の特徴や防除の要点を紹介する。
チョウ目害虫
アブラナ科野菜、サツマイモ、大豆、トウモロコシ、ネギなどの多くの作物でチョウ目害虫による被害が報告される。ハスモンヨトウとシロイチモジヨトウは鱗毛(りんもう)に覆われた卵塊を産み付け、孵化(ふか)幼虫は産卵場所近くに生息するが、齢が進むと分散するため防除が困難になる。オオタバコガは1卵ずつ産卵し、幼虫は結球した果実に潜り込む性質があり、防除が厄介である。
これらの害虫は齢が進むほど薬剤が効きにくくなる傾向があるので、若齢の間に対処できるとよい。
したがって播種(はしゅ)、育苗、定植期における薬剤の灌注(かんちゅう)処理や粒剤の施用が効果的である。化学農薬を用いる場合は、害虫の殺虫剤抵抗性を高めないために、作用が異なる農薬のローテーション施用を心がける。
各農薬の作用機作についてはIRACコードを確認していただきたい。また、フェロモン剤や防虫ネットや光反射シート、黄色照明灯などの利用も有効である。

微小害虫
微小害虫は施設栽培において問題となることが多く、施設栽培では年中発生が見られることになる。微小なため発見が遅れやすく、見つけた時には大発生していることがあるため要注意である。
防除対策としては、害虫を施設内に持ち込まないことが大事であり、害虫がついていない苗の入手を心がけるとともに、苗の定植後の管理も大事である。そのためには定期的な殺虫剤の散布が必要になる。
微小害虫は世代交代が早く、薬剤に対する感受性の低下を招きやすいため、連続した世代への殺虫剤の同一系統の連用を避け、大発生する前の対処が重要である。害虫の薬剤抵抗性の程度は農作物や地域により異なることがあるため地域の病害虫防除所などの情報を得ていただくとともに、農薬の登録や失効情報については農林水産消費安全技術センターのホームページなどを確認していただきたい。
また施設の出入り口は害虫が侵入しやすいため、開口部に防虫ネットの展張を行い、小まめに閉めるようにする。人の出入りなどにより、出入り口近くの植物に害虫がつきやすいことから、出入り口付近の植物での害虫の発生に注意が必要である。光反射シートや紫外線カットフィルムの利用といった、光を利用した技術も利用したい。
害虫の発生源となりやすい施設内の雑草や作物残さは処理すること。施設外における除草シートなどを用いた雑草管理も重要である。


