野菜の病害
温暖化で病害リスク増す

2025.02.19
農研機構 植物防疫研究部門 作物病害虫防除研究領域 生物的病害虫防除グループ グループ長 窪田 昌春

 温暖化により露地野菜の細菌病や土壌病害の被害が大きくなっている。植物病害は、高温多湿で発生しやすくなるが、大雨により土壌水分が高い時間が長く続くことで、これらの病害の発生リスクが高まる。

病害別に適切防除

 ネギ、タマネギ、レタス、キャベツ、ハクサイなどの葉根菜類の軟腐病など細菌による病害は、降雨による跳ね上がりや、たん水などによって、土壌中の病原菌が、茎葉に接触、付着して発生する。降雨前に銅剤を散布するなど予防的な対策が有効である。糸状菌による土壌病害では、高温時期の長期化により、秋季以降に播種(はしゅ)、移植する葉根菜などの苗立枯病が懸念される。夏季の高温期では各作物の白絹病の報告が増えている。これらはいろいろな作物に発生する多犯性病害である。
 一方、冬季の低温期間が短くなることで、ネギ黒腐菌核病の北日本での発生が増加しているようである。糸状菌による土壌病害に対しては、播種・定植前以外の栽培期間中に、簡便に土壌への散布・混和ができる粉・粒剤や、潅注(かんちゅう)できる水和剤が増えている。ただし、被害が大きくなった圃場(ほじょう)では土壌消毒が必要となる。土壌消毒では、くん蒸消毒剤による方法以外に、土壌に浸透しやすい有機物と水分を処理して地温を30度ほどに保つことで行える還元消毒も有効である。
 露地野菜では、冬季の低温期間の短縮により、各作物のべと病や菌核病の発生時期が長くなっている。これらの地上部病害には農薬散布で対応するが、ネギ類のべと病では、インターネットで利用可能な発生予測システムがいくつかの県などにより運営されており、効率的な防除のために利用したい。

キャベツ軟腐病
タマネギべと病

施設の高湿度注意

 施設栽培でも温暖化により、病害の発生期間が長くなっている。土壌病害では、露地と同様に各作物の苗立枯病や萎凋(いちょう)性病害の夏から秋季での発生に注意する。対策は、露地の土壌病害と同様である。地上部では各作物でさまざまな糸状菌による病害が、それぞれの発病適温で発生する。これらの病害は結露によって発生しやすくなるため、換気扇や循環扇、あるいは暖房器具の調整により、施設内の湿度を下げることが対策となる。
 また、地上部病害は農薬散布で防除するが、これらの病原菌は病斑形成後に大量に胞子形成し、その胞子が風媒伝染するため、胞子形成前の初期病徴を見逃さずに防除を開始する。農薬耐性菌も発生しやすいため、異なる作用機作の農薬をローテーション散布する必要がある。

施設地上部病害のトマトうどんこ病

高温でウイルス病拡大

 高温期間の長期化で、微小害虫の発生から、それらに媒介されるウイルス病害の被害も広がっている。特に、コナジラミ類に媒介されるトマト黄化病・黄化葉巻病、ウリ科作物の退緑黄化病、アザミウマ類に媒介される各作物の黄化えそ病などの発生量や発生地域の拡大が問題となっており、微小害虫の防除対策の徹底が必要である。

トマト黄化葉巻病