水稲の病害
高温から発生時期ずれる

2025.02.19
農研機構 植物防疫研究部門 作物病害虫防除研究領域 病害虫防除支援技術グループ 主席研究員 芦澤 武人

 2024年は、昨年同様に夏季の平均気温が統計開始以来の過去最高となり、極めて高かった。梅雨入りは全国的にかなり遅く、梅雨明けは平年並みの地域が多かった。葉いもちは平年より多く、穂いもちも同様に多かった。紋枯病は平年並みの発生で、ごま葉枯病は昨年同様発生が多かった。注意報は、いもち病が3道県(北海道、長野県、高知県)で発表された。

いもち病

 近年の高温傾向で5月からいもち病の感染好適日が出現するようになり、特に早期水稲での発生が目立つようになってきた。
 葉いもちは、日平均気温が15~25度、葉面の濡れ時間が10時間以上、前5日間の平均気温が20~25度の範囲となる三つの条件がそろうと、その7~9日後に発生が認められる。
 稲がまだ小さく最高分げつ期に達していない時期でも葉いもちの発生するリスクが高いので注意を要する。
 一方、夏季の高温で降雨がなくても気温の日較差により結露が発生し、葉いもちから穂いもちに至る「日照りいもち」の発生が目立つようになってきている。
 このため、出穂前の時期に圃場(ほじょう)を見回り、葉いもちが発生している場合は防除を検討する。
 みどり戦略では、食料を安定的に確保しつつ化学農薬の使用量を低減する目標を掲げている。種子消毒剤の対応としては、温湯消毒と微生物農薬の組み合わせが主体となる。一般の化学農薬系の種子消毒剤については薬剤耐性菌が生じないよう同じ剤の連用を避け、数年ごとに変更すると良い。

穂いもち

ごま葉枯病

 近年は夏から秋季にかけても高温が続くことで、本病の発生が増加しており、現在は、いもち病に次いで3位の発生面積となっている。出穂期直前の時期から発生が目立ち始め、登熟期まで病勢が進展する。葉身だけでなく穂にも感染し、被害が多いと減収や稔実(ねんじつ)不良による品質低下を引き起こす。
 耕種的防除法として、稲の移植前に転炉スラグなどのミネラル成分の多い資材やマンガンを含む肥料を散布・土壌混和する。出穂期に発生が多く認められる場合は、粉剤や水和剤を散布する。種子伝染するため種子消毒を徹底する。

ごま葉枯病

紋枯病

 稲の最高分げつ期頃の中干しの時期になると、下位葉鞘(ようしょう)に付着した菌核や罹病残渣(りびょうざんさ)から感染が起こり初発の病斑が生じる。病斑は垂直方向に伸展し、隣接株同士の葉身が触れる時期になると、葉身を伝って水平方向にも病勢が進展する。高温、降雨や結露による高湿度の気象条件が続くと多発生し、穂のもみが感染し枯死する場合もある。近年は箱施用薬剤の効果が切れた時期から急激に病勢が進展し、被害が発生することが多い。
 出穂期に圃場を畦畔(けいはん)際から観察し、止葉まで病勢進展していて発病株が多い場合は、本田での散布が可能な粒剤や液剤などを利用して防除に努める。

紋枯病の葉身の病斑